バルブシートの原価を半減する

ファインシンターはトヨタ自動車系の粉末冶金部品メーカー。主力製品の一つであるエンジンバルブシート用に開発した小規模・高効率の生産ラインを、7―8 月に国内工場で立ち上げる。生産量が従来比3分の1以下でも、採算が合うよう見直した。トヨタ向けのバルブシートでは盤石な地位を築いてきた同社。ただ競 争が激化する中で「コストで対抗できなければ失注する」(井上洋一社長)という強い危機感を抱き新型ラインを開発した。 ◆  同社は2008年のリーマン・ショック以降、ライン改革に乗り出した。まず取りかかったのがショックアブソーバー部品用のライン。念頭に置いていたのが海 外展開だ。新興国では進出当初の生産量が少なく、稼働後の需要変動も激しい。そうした地域で初期投資を抑え機動的に展開するため、ショックアブソーバー用 の小規模・高効率ラインを開発した。11年に滋賀工場(滋賀県愛荘町)で立ち上げ、13年にはインドネシアの新工場に導入した。 次いで開発したのがバルブシート用のラインだ。同社はショックアブソーバーとバルブシートで、売上高の約半分を占める。その2大主力製品のラインを改めたことになる。「バルブシートの原価を半減する」(同)という目標を掲げる中、その大きな役割を新型ラインが担う。 粉末冶金部品は金属粉末をプレスで成形し炉内で焼結後、機械加工で仕上げる。従来ラインは大ロットで流し、工程ごとに大量の仕掛かり在庫が発生していた。仕掛かり品の取り出しや搬送は人手で行い、機械加工の多くは外注していた。  新型ラインは機械加工も組み込んだ一貫ラインとし全自動化した。またオリジナルのプレス機を開発し、金型の段取り替え時間を従来比9分の1の5分と大幅短 縮した。従来はマシンを止めて金型を交換していたが「外段替え化」することにより、すぐに切り替えられる仕組みにした。 焼結炉は2段階で加熱していたため、トータル時間は120分と長くネックになっていた。素材の工夫によって1段階で焼結できるようにし、所要時間を55分に短縮。ラインに組み込んだ研磨機についても小型化し、1台当たりの投資額を半減した。  これらの改良によって、新型ラインはライン長を従来比15メートル減の20メートルと小規模化。投資額は40%削減した。10時間かかっていた部品1個当 たりの生産時間は90分にまで短縮。出身のトヨタ時代から生産技術に精通する井上社長も「完成度は高い」と自信をみせる。 ライン改良はこれで終わらない。「究極はプレスでつくりきるライン」(井上社長)と機械加工レスを目指す。すでに開発に乗り出しており「そこまでいかないと“断トツ”(の競争力を持つメーカー)になれない」(同)と意気込む。

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ