なた豆茶と地域住民

大阪府東大阪市が中小工場の集積を守ろうと、住工共生の施策に力を込めている。2013年4月に「住工共生のまちづくり条例」を施行し、進捗(しんちょく)が問われる2年目。市域のあちこちに町工場の集積がある東大阪市は、経済環境を映し、工場跡の宅地化が続いた。人口50万を擁する東大阪市にとり、住工の共存は都市の未来を占う取り組み。長期戦の序盤だが、最初の勝負所でもある。(東大阪支局長・佐々木信雄) 東大阪市は住工共生条例に基づき、13年4月から騒音対策、移転などにかかる費用の補助制度を始めた。同10月から、工業系地域で住宅・マンションを建設する際のルール条項を施行。建築業者などに市との事前協議、建物の防音対策、地域での説明会、建築標識の設置を求めている。 補助金は13年度に3社が活用。金型部品を手がける釣長鉄工所は、市内の住工混在地区からの移転に、また切削加工の長尾鉄工所は、住宅に囲まれた立地で仕事を続ける目的で防音リフォーム工事に充てた。両社は世代交代の予定があり、環境整備に投資した。市は14年度に工場向けの土地売却への補助金を設けている。 同条例は中長期的なロードマップを描く。用途規制がやや緩い工業地域や準工業地域を厳格な工業専用地域にして、一般住宅と工場の地域分離を狙っていく。それには地権者の広い合意を要する。14年度は地権者へのヒアリング調査を準備中で、地域住民らで発意する地区計画の手法などの道を探る。 モデルは市西部の高井田地区だ。まちづくり協議会「高井田まちづくり協議会」が07年から活動し、モノづくり経営者、住民ら78者が加入している。東大阪市は3月に同協議会を条例に基づき認定した。対象区域で市と協議会で相談し、モニュメント的な案内板を設置する計画。同協議会の林泰孝会長(林産業代表取締役)は「モノづくりの街のイメージアップにつなげたい」と話す。 高井田はモノづくりの街・東大阪市の顔だが、足の便が良く、空き地は、宅地にも手頃。買い手がつくのに時間はかからず、地域企業は集積の劣化に懸念を募らせる。元気な企業が住工混在を嫌い、新天地へ転出する例もある。 【事例/高井田地区のホーライ−周辺が宅地化、追加投資に苦慮】 東大阪市高井田地区に本社を置く廃プラスチック粉砕処理装置メーカー、ホーライ。3月、事務所・工場の裏手の熱処理会社が廃業した。その敷地約1000平方メートルを、むつみ住建(大阪市平野区)が取得。「10分割で1軒3000万円級の一戸建てか、事業所用でも売れる。まだ決定していない」(東博之むつみ住建専務)。条例は尊重する方針だ。この廃業した工場・社屋は7月までに解体・撤去で更地になり、買い手探しが本格化する。 条例では、物件仕様を建築主が定めた時点で、東大阪市と協議、建設地域の企業へ説明をするよう定めている。 ホーライの鈴木雅之社長は近隣の住宅地化に神経をとがらせる。これまでも防衛策として、隣接地で出た売り物件を自社購入し、計4億円を投じた。今回は手を打つすべがなく、事態が進んだという。「こんな状況だと、ここで思い切った設備投資ができない」(鈴木社長)とぼやく。 高井田で工場跡に工場が建つ例もある。段ボール箱製造の藤森紙器は、現立地と同じ高井田地区の売り物件約1300平方メートルに飛びつき、約800平方メートルを買った。建設中の新工場が12月に完成予定だ。賃貸工場の入居企業が転出し、地権者が売りに出した。藤森紙器の佐藤雅博社長は「トラックで近県各地に毎日配送する。便利のいい高井田しか考えなかった」と話す。 【東大阪市副市長・高橋克茂氏「混在解消長期戦に挑む】 東大阪市の高橋克茂副市長は12年7月に、任期4年で国土交通省から着任してきた。都市計画の手法で住工共生施策を推進する。 ―条例施行から1年。これまでの成果評価は。 「地域企業の反響は大きかった。市も条例に基づき事業所アンケート、立地調査を実施し、実態をより把握した。都市計画による誘導が形に現れるのは30年、50年、100年の期間がかかる。一朝一夕に住工混在は解決しない。市民、工業者に意識を変えてもらう。その一歩は踏み出せた」 ―現状の条例の建築ルールは拘束力(罰則規定)がありません。 「ないけれども、条例施行後の工業地域の宅地開発ではルールが守られている。不動産会社の方の意識が高く、協力的な姿勢に感謝している」 ―工場の跡地は工場にということですか。 「まずはそれで工場の集積を守ることに取り組む。その先に都市計画の用途指定に沿い純化、整序を進めたい。住民の方々の発意による地区計画の手法などがある。理想は工業系地域は工業専用地域にすることだ」 シグマアルドリッチジャパン合同会社(東京都品川区、秋山一社長、03・5796・7300)は、研究室の実験内容、装置に合わせて試薬やサンプルを提案するコンサルティングセールスを始めた。研究室の実験フローの立ち上げや文献の参照などを丸ごと支援する。試薬市場全体の成長が横ばいで推移する中で、年間平均成長率2―5%の売り上げ拡大を目指す。 研究用試薬メーカーの同社が、化学合成や抗体作成、遺伝子解析、法医学鑑定など実験フローに合わせた試薬や化合物を提案する。各研究領域の実験フローごとにコンサルティング用マニュアルや文献情報を整備している。有機合成であれば試薬と触媒、溶媒などの組み合わせ、分析実験であれば分取カラムと標識剤などの組み合わせを最適化する。 実験コンサルティングは、計測機器メーカーが中心だった。試薬メーカーがコンサルティングする場合、測定装置に縛られずに最適な実験プランを提案しやすい。一部の国立大学では、研究室の実験デザインを丸ごと請け負っている。 同社は、研究用試薬23万品目と業界1位。極めてわずかしか使われない研究用試薬を高品質で世界中に供給してきた。自分で合成するより簡易なため、多くの科学論文に使われてきた。さらに、影響力の大きい論文に採用されると追試実験にも同社の試薬が使われる。少量多品種の供給体制が論文採用の推進力になってきたが、価格競争の激化を踏まえ、研究の実験デザインからコンサルティングすることで顧客を囲い込む。

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